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超常学園 第7話

満を持して…

というか今やっと…

また一ヶ月かよって言われると頭が上がらない…

ごめんなさい<O>


名誉挽回!のためではありませんが、
超・ひさしぶりにSS更新です!
前回からどんだけたってんだよっっ!

まったりした野郎でもうしわけないです。

挿絵は後日挿入になっちゃいますが、
数枚は入れる予定です!のでこうご期待…
※1枚目追加!

ではでは!はじまりはじまり~


超常学園―――
そこは一見、普通の私立学校。
広大な敷地があり、寮もある。そして生徒が伸び伸びと過ごせるよう、校風は自由。
しかし
この学園には裏の顔がある。
ここに通う生徒、実にその50%は―――特殊な能力を持つ者
それこそ超能力者から、魔術士、巫女、果ては人外の者まで…
これは、そんなとんでもない学園でも
特に数奇な運命を辿った者達の物語である―――


 超常学園 エピソードナンバー⑦ 『恐怖のローラー!』



学園の少女達を箱化して攫っていた悪魔、イベル。
彼女は捕らえた少女から生気の力を吸い上げ、大悪魔になろうと目論む
しかし、
そんな彼女の野望は、2人の少女と99体の人形達の活躍によって潰えたのだった。

あれから数日―――

被害に遭った女生徒達も無事に日常へ帰り
アオイ達も、引き続き魔物達を捜し続けていた
のだが―――




真夜中…校庭。
照明は全て落ち、月と星だけが全てを照らすその時間帯、
生徒はおろか、部活動の者ですら居ない。
そんな、ひと気が無い校庭に………
「あーあ!全く、見つからないわねえ…!」
不機嫌そうな少女の声がコダマした。
声の主は、誰も居ないと思われたグラウンドの一角を歩いている。
見慣れた金髪のポニーテール。翠のリボンに、白いコートを羽織った制服姿。そして、手には大きな金色の槌を携えている―――
ご存知、メリッサ・アルテミスである。
こんな時間に何をしているのか……彼女にとってそれは愚問である。
『パトロール』、そして『妖怪捜し』だ。


「はぁ…」
先程から誰となしに愚痴を呟いていた彼女だったが、
溜め息を一つつき、黙り込んで思考し始める。

正直言って、メリッサは焦っていた。

一週間ちょっと前、
七体の妖怪が封印されていた倉庫を誤って荒らしてしまい、まんまと解放してしまったのが始まりだった。
まず、解放されたリビングドールのアリスに、身も心も人形にされ、利用された。
アリスが封印された後、
お化けキャンドル、悪魔イベルなどがあらわれ、各位に撃退されたが
いずれを撃退する時も、メリッサは大して功績を立てられなかった上に、
校舎を無駄に破壊したせいで莫大な借金が出来、その肩代わりに人体実験に付き合わされる羽目となる―――

そして、いま現在。
残る四体を、ここ数日かけて探し回っているが、まるで見つからない。

このままでは―――まずい。

「何か…何かここで良い功績を出さないと…退魔士の名折れよ…」
いつになく神経質に、かつ苦しそうに、呻くメリッサ。
自分の誇り、アイデンティティに関わる事だけあってか、
その姿は、何らかの恐怖観念を自分に言い聞かせているように見えた。

と、そんな時
マナーモードにしておいたポケットの携帯が、規則正しくバイブした。
すかさず取り出して―――液晶に映ってる『アオイ』の名前を見て顔をしかめる。
「もしもし、何よ!?」
不機嫌さを隠そうともしない声で、電話に出る。
『やっほー♪メリッサちゃん♪そっちはどう?』
まるで空気を読まない、無駄に元気で呑気な声が帰って来て
メリッサの不機嫌度がソウルエナジーMAXになる。
率直に言えば『プッツン』した。
「ったく……なんも見つかんないわよ!うるさいわね!」
『そんな怒鳴らないでよぉ…』
怒鳴りたくもなるわ!と、メリッサの怒りのボルテージが上がる。
「用件はそれだけ?あんたこそなんか見付けたの!?」
『いや…無いから電話してみたんだけど…』
「ならなおさら!おしゃべりしてる暇があったら捜索続けなさい!じゃあね!」
『あ、ちょっとま』
ブチッ!と通話を切り、ついでに電源まで切ってしまった。

―――全く!なんであいつはいつも!ノンビリと!おちゃらけてるのよ……!

心身共に焦っている自分が馬鹿みたいだ、と憤るメリッサ。
そりゃあ、アオイは吸血鬼だ。どのくらいかはしらないけど長生きしているのだろう、
しかしメリッサは違う、退魔士の才こそあれど、れっきとした人間だ。時間は限られている。
ゆっくりしていってね!なーんてやっている暇は、無い。
そう、こんな学生の時分から蹴つまずいている場合じゃないのだ。

「そうよ!だいたい………っ!?」
また新たに愚痴を呟こうとした時、背筋にゾワリとした感覚が襲った
口では言いがたいこの感覚――…近くに何か異形なモノが居る!
方向から言えば、校庭から少し離れた森の中
恐らく、倉庫の妖怪……ハンターならぬ、退魔士としての直感がそう告げていた。
「……こっちには気付いてないみたいね」
ここ数日、探し回って見つけられなかった程の相手だ、
気付いていたら気配を隠すか、向かってくるかのアクションがある筈。それが全く無い。
チャンスだ。
アオイとロウガにも知らせて一気に―――…
「………いえ、身を隠すような妖怪一匹風情、あたしだけで十分!」
取り出しかけた携帯を再びポケットに戻し、
危険な決意と共に、メリッサは校庭を後にして森へ入る。
目指すは気配のした方角、森の奥へと突き進んだ。





―――同時刻。
「メリッサに連絡が着かないだと?」
二つの人影が月に照らされている、校舎の屋上
人影その1ことロウガは、金色の目を細めてそう口にする。
「うん、なんか拗ねてたみたいで…携帯の電源を切っているんだと思う」
人影その2のアオイは、毛先を指でクリクリ弄りながら、困った表情をしている
「やれやれ……素直じゃないのはいつもの事だが、困ったものだ」
腕を組んだロウガが、狼耳(自称)をピクピク動かす。
その仕草が道に迷った子犬のようで、思わずアオイは顔を綻ばせる。
もっとも、本人は犬扱いを全否定するので口には出さないのだが
それはさておき
「今日はこれで切り上げようと思ったんだが……仕方ない。探しに行くか」
「あ、あたし行くよ。飛んでった方が速いし~」
と、言うや否や背中に『偽りの翼』を出す。
何故か『ジャキーン!』という鋼鉄のような音を立てて
「………そうか、任せたぞ」
「あれ!?せっかく付けてみた効果音を無視!?スクランブル●ッシュみたいでカッコ良いでしょ!?」
「悪いがロボットアニメには疎い」
「うわ~~~~~~~ん!」
身を翻すように飛び上がり、錐揉みしながらも瞬く間に夜空へ消えて行くアオイ
●レートマ●ンガーやゲッ●ードラ●ンもびっくりの高速機動だ。
―――飛び去った跡に涙の滴が飛び交ってなかったら完璧だったのに
「………今度、DVDでも借りてみるか」
流石にちょっと責任を感じたのか、そうぼやいて屋上を後にするロウガ

後日、妙にはまったせいでさらに夜の睡眠時間が削れ
授業中の居眠り率=眉間にチョークが飛んで来る率が増えたりしたが、
今は関係ないので割愛する。



場所は変わって、森の中
校庭から少しばかり歩き、少しばかり開けた場所に出たメリッサ。
そこは――……
「ゴミ捨て場?」
そう、ゴミが
壊れた机、椅子、テーブル、その他よくわからない廃材やベニヤ板、看板が
眼前いっぱいに広がり、秩序無く積まれている。
「隠れるにはうってつけって訳ね……」
ゴミが森に広がらないようにするためなのだろう、周りは工事現場によくある金属の柵に囲われている。
が、ちょうどメリッサが入って来たところだけは、柵が途切れていた。
恐らく、ここが出入り口。
細心の注意を払いながら、メリッサはゴミ捨て場に足を踏み入れた。
幸い、ゴミのない土の地面の道がある。運搬用の通り道なのだろう。
そこを進むメリッサは、まるで魔物の巣穴の奥深くへと歩んで行くような錯覚を覚えるのだった。


「………。」
押し黙ってしばしの間、歩き続ける。
と、再び開けた場所に出た。
ゴミが無い地面がほぼ円形に広がっていて、大きさは直径15メートル超。
そうまるで―――ドラマか何かで不良やヤの付く人が決闘をしそうな、ゴミの闘技場。
RPGだったら中ボス辺りが出て来そうな、いわゆる『いかにも』な雰囲気
「………居る」
間違いなく、校庭で感じた気配は近くにいる。
だが、姿が見えない。
否、もしかしたら身を隠して、こちらを伺っているのかも
そう思い、こちらもゴミの影に隠れようとし―――
『ヒタリ』と、首筋に何か触れた
「っっっっ!うひぃっ!?」
慌てて振り向くと―――そこには!
生気のない目でこちらを見る逆さまの少女の顔があった。
「でっ、でっ、でたわねぇっ!妖怪!?………って、あら?」
上擦った声で身構えていたら、気付いた。
よくよく見てみると様子がおかしい。
端的に言えば、ペラッペラなのだ。
薄平たい、厚みがない、平面的、まるでゴムで出来ているように見えるが、
その精巧な造りは決して作り物でない。よく妖怪を潰すメリッサだからこそわかる。
しかも、しかもだ。
その少女の顔には見覚えがあった。
ちょうど数日前に―――
九十九と共に討ち倒した筈の―――
「……ぁら……久しぶりじゃない、人間の退魔士さん」
「やっぱりあんた…イベル!?」
悪魔の少女であった。


「なんでこんなところでそんな姿になっているのよ!」
「ん、口で話すのは面倒だから…前の話の最後をVTR(コピペ)で見てみましょう……忘れてる人多数でしょうし」
「ちょ、メタな発言は………」
「はい、VTRスタート」




森の奥深く―――
鬱蒼と茂る草と、木々の合間をフラフラ歩く者がいた
「うぅ…ひどい目に…あったよぉ…」
全身黒こげ満身創痍の、イベルであった
あれだけの砲撃を喰らって生きていたのは、
ひとえに障壁の才能と、悪魔ゆえのしぶとさだろう
「あいつめー…この傷が癒えたらたっぷり例をしてやるんだから!」
九十九達を思い出して腹が立ち、
ちょうど近くにあった大岩を『ゲシッ』と蹴りつける
蹴りつけたら―――
「うぉ痛っ!?」
「へ?」
いきなり、男の野太い声がした。
辺りを見回しても…誰もいない
恐る恐る…目の前の大岩を見てみる
よくよく見れば、それはただの大岩ではない
表面がすべすべになされてて、横倒しの円柱の形をしてる
しかも横から、鉄の棒のような物が出ており、取っ手のように見えた
いや、そんな外見よりも、だ
「…人がせっかくエエ気持ちで眠っとったのに…蹴り起こすたぁエエ度胸やで、お嬢ちゃん」
「い…岩が…喋った――――――っ!?」
「じゃかあしい!こうなったらブッ潰しや!」
円柱が啖呵を切るや否や
勢い良く、イベルに向かって転がって―――
「へ……ひゃ……
キャァァァァアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
悪魔の悲鳴が、森の奥に木霊した……




「と、いう訳でこんな状態な訳」
「いろいろツッコミたいけどスルーして……大岩の妖怪ね……」
腕を組んで考え込むメリッサ、
嘘をついている様子はない。そもそもこんな無防備な状態で嘘を付く利点がない。
もっとも相手は悪魔、信用しがたいのがやまやまだが、今は対して問題ではない。
むしろ問題なのは―――
「その妖怪にやられたあんたがこんな場所に干されているって事は……ここがそいつの根城なのかしら?」
「う~ん、と言うかぁ~」
妙に曖昧な、濁すような返答にメリッサは顔をしかめる。
「『と言うか』って何よ?」
「後ろ、後ろ」
何を言うかと思えば、とメリッサはちょっと呆れ顔になる。
「………はん、騙そうたってそうはいかないわよ」
「?」
「どーせ!後ろを向いた瞬間にあたしを襲って!復活しようって魂胆なんでしょう!」
見た目は明らかに無力だが、相手は悪魔なのだ。
そう、アオイと初めて会った夜の時もそうだ。
容赦なくしっかり平面に潰したつもりだったのに、一瞬の隙を突かれて逆転された。
―――フフフ、同じ手は喰わないわよ!
「もう一度だけ言うけど、後ろ後ろ」
「だから引っ掛からないって言って…」
と、その時
『ヌッ!』と
メリッサの後ろから大きな影がさした。
「………はい?」
流石に振り返った。
「このワシのシマ(縄張り)でなにしとるんじゃあああぁぁ~?」
巨大で、ゴッツイ奴が、真後ろで、
メリッサを見下ろしていた。
「うひゃああああああああああああああああっ!?」
思わず叫んだ。さっきの三倍くらいの音量で
あまりの大声で、その大きい影も一瞬怯んだ、が
「じゃかああしいぃい!!」
「!」
丸太のような腕が振り上げられ、メリッサは我にかえった
「あ、ちょ!?」
反射的にイベルを掴んで、転がるようにその場から逃れる。
腕は寸前までメリッサが居た箇所を空振り、地面を粉砕した。
「くっ…!」
ゴロゴロと前転して距離を取る。
ゴミのリングの反対側まで逃れて、立ち上がった。
「よけおったか……」
ほぼ同時に、でかい影もゆっくりこちらに向き直る。
改めて見ると、大きさは樋熊くらい…最低2メートルはある。
奇異なのはその体型だ。
上半身はかろうじて人型をしている。『人』では決してなかったが
まずは顔、
目はライトのようで文字通り爛々と輝く、
口元を表しているのか『A』文字のライトが合間に宛がわれているのがちょっとだけシュールだ。笑えないが
続いて胴体は歪んだ装甲が包み、身体の各部から壊れた機械部品が見える。
最も特筆すべきは下半身だ。
タイヤ……否、ローラーか
それだけであるが、それが巨大であるが故に問題だった。
あれに轢き潰されたら―――…多分、イベルと同じ目にあうのだろう
「って言うか……どこが岩の塊よ、立派なモンスターじゃない!」
「私をやった時は岩の塊だったのよ!進化でもしたんじゃない!?」
「ふぅん!かしましい奴らじゃのぉ…!」
いきり立つモンスターの声で二人は喧嘩を中断する。
とにかく、今は目の前の敵をなんとかするのが先決―――
見る限りでは話し合いの類が通じる相手ではない、
「―――けど、あんなやつ私一人で十分!」
決意も改め、メリッサは討ち手の小槌を強く握り直す。
「ブチ潰したる!」
と、怒声と共に
ギャルルッ!とローラーが地面を擦る音を立てて、真っ直ぐ突進してくる。
対するメリッサはその場から動かない。
―――避ける必要はない。
カウンターの一撃で叩き伏せる!

「おっどりゃあああああああ!!」
「でやあああああああああああ!!」
一人と一体の怒声の直後、
辺りに、大音響が響き渡った。


「……………」
「……………」
双方、まるで時が止まったように、
ハンマーヘッドとモンスターの拳がぶつかり合ったまま、制止していた。
拮抗を破ったのは―――ビシッ、と亀裂が走った音。
「ぐふ………」
えらくベタなヤラレ台詞を出したのは、野太い声だった。
拳に入ったヒビが、上半身全体に及んで
刹那、
バラバラと、崩れ落ちた。

「………っはぁ!…はぁ…はぁ…」
肩を上下させて息をするメリッサ。
辺りには、バラバラになったモンスターのパーツ、
頭もそのまま転がっているが、目や口だったライトに光は燈らず、
動く様子は、ない。
―――勝った。
そう思うと、緊張の糸が切れたのか、
カランカランと、手から討ち手の小槌が転がり落ち、
ドサリと、尻餅を突いた。
「やった…はは…やったわ…」
しばらく呆然としていたが、少し落ち着いて気付いた、
そういえば、手に持っていたイベルは?
「う~~~ん………」
小さな呻き声が聞こえて、後ろを仰ぎ見て見れば
ゴミ山の一角に引っ掛って干されていた。
どうやら、小槌を振り抜くのに夢中で放ってしまったらしい。
後で取って帰らないと―――

メキョッ……!

唐突に、嫌な、音が、した。
「ぇ…?」
振り向いた。
大きなローラーが目の前まで来てて、
地面に投げ出していた脚が、下敷きにされて、
潰れて―――
「ワシの一張羅を…よぉくもやってくれたのぉ…?」
「い…いやあああああああああぁっっ!!?」
どうして!
何故!なんで!意味不明!
メリッサの脳内は容混乱に満ちていた。
それを表情から汲み取ったのか、わざわざローラーが答えてくれた
「何を隠そう、ワシはこの、コンダラの方が本体なんじゃい…!」
「コン…ダラ…?」
コンダラ―――正式名称は整地ローラー。
確かに、先程までは上半身があってわからなかったが、
円柱の構造といい。金属の取っ手といい。
まさに…かの野球少年が引っ張ってそうな、一般的なコンダラだ。
意志を持ち、自立稼動して、なおかつ轢いた者を平たく伸ばせる事を除けばだが
「さぁ~…宣言通りブチ潰したらぁ!」
「あ……っ!?」
ローラーが再び動き出す。
膝の辺りまでのしかかっていたのが、
前に向かって……具体的には腿の辺りを……
メシリ、メシリ、と轢き潰していく。

「くああああああああ!!」


「くああああああああ!!」
痛みは無い―――だが、堪らなく不快な、感触。
メリッサは以前にアオイに吸血された時にも、体が潰れた事があるが、
あれとは全く持って別の感覚。
吸血の際は徐々に力が抜けるように、余り誉めたくは無いが体が軽くなるようにすら思えた。
だが、“これ”は余りにも不快。
無理矢理凝縮されているような…事実そうなのだが…それがダイレクトに伝わって来るのだ。
「うあああああ!いやぁ!やめなさいよぉ!こいつぅ!」
脚をばたつかせ、身をよじって逃れたいのに、潰れた箇所が張り伸ばされる程度。
それが彼女の絶望と嫌悪をさらに引き立てる。
「くぅぅ!」
しかし、それでもなんとか、
腕を伸ばして、転がって行ってしまった討ち手の小槌を、
必死にたぐりよせ―――掴んだ!
「おおっと」
しかし、
無慈悲にもコンダラの鉄製の取っ手が、
メリッサの腕に振り下ろされた。
「っ!あああっ!」
バシイッ!と鈍い音を立てて、二の腕が強かに打たれる
そして痛みと衝撃で、討ち手の小槌は明後日の方角に飛んで行ってしまった。
「くぅ………!」
「ホレホレェ!どんどんやっちゃらぁ!」
「ああああああああっ!」
そうこうしてる内に、ローラーは既に脚を潰し終えて、
腰に、魔の手を伸ばしている。
せめて手で押さえようと踏ん張るも、焼け石に水。
そのままローラーは胸へと差し掛かり始めた。
元より無い胸のせいか、潰すスピードは変わらない。
こんな時にさえコンプレックスがネックとなるのは皮肉だった。
「くっ…やめ…やめなさい…やめ……やめて………」
声が弱くなっていく、
それは単に胸が押し潰されかけて息苦しいだけでなく、
心が、折れようとしていた。
もう…勝ち目は愚か助かる見込みもない、と
「ぅ……ぁ………ぃゅ…………」もう肩口まで潰され、後は上に挙げた手と、顔だけ。
ローラーが文字通り目と鼻の先にある。
ここまで近いと、まるで巨大な闇の塊にしかみえない。
そしてそれがゆっくり降りて来て―――


ゴロゴロッと、ローラーが転がりきる。
その通った跡には―――
平たく、薄く、無力な姿に変わり果てたメリッサの姿があった。
「………ぁ…ぅ…」
掠れるような声を出すメリッサ。
ポーズはバンザイに近い格好をしており、
身体はもちろん、コートも、制服も、リボンも、地面にペッタリ張り付いている。
さらに、その顔に浮かべる表情は、無念と絶望に満ち
焦点の合わない虚ろな瞳で、上だけを見ていた。
もう、その姿には強気とか、勝つというフレーズは当て嵌まらい。
ただ、敗者の姿を晒していたのだった。

メリッサペッタンコ☆イェイ!メリッサペッタンコ☆イェイ!


「ふぅん!ワシが本気になればこんなもんじゃて」
調子よく息巻くコンダラ。
と、同時に、周りに散乱していた上半身のパーツが、
まるで無重力に晒されたかのように、ふよふよ浮き始める。
それはコンダラの取っ手パーツを基礎にして集まり
数秒後には、元通りに近い姿になる。
破損した部分には、ゴミ山から適度な鉄材や廃材をあてがい、
それが何事もなかったかのようにくっつく、
原理こそわからないが、上半身は彼にとっての一張羅。
廃材利用とはいえ、壊れたままには出来ないのだ。
「さーて、男前に戻ったところで………お前をどぉぉしちゃろぅかのぉお!」
「ぁ、ぁあ……」
絶体絶命―――
そんな言葉がピタリと当て嵌まる。
その時、
「ス―――パ―――……」
「ぁん?」
「イナズマ吸血鬼キィィィィィィィィック!!」
「うおぉおおおぉおおおおおおおっ!!?」
不意を完全に突かれたコンダラに繰り出されたのは、
遥か上空より、ほぼ垂直に急降下するように繰り出された蹴りだった。
「あっががうお!?あべし!!」
偶然か否か、上手く蹴りがコンダラの取っ手だった部位を直撃し、
コンダラは意図もせずに明後日の方角へ爆走、
そのままゴミ山の壁にぶつかり、埋もれた。
「奇襲成功、と♪」
蹴りを繰り出した張本人―――アオイは、
派手な登場とは相反し、静かに地面に降り立った。
「ァ…ォィ……あんた………」
「メリッサちゃん!待ってて、すぐ助けるから」
と、言うや否や、まずメリッサの頭に手をかける
「ちょっと我慢してね………そおれっ!」
ベリベリベリッ!と素早く、かつ、破かないように気をつけつつ
アオイはメリッサを地面から剥がした。
ついでに、転がっていた討ち手の小槌も拾い―――
「飛びま~す!英語的に言うと、フラ――――――イ!」
ゴミ捨て場から、一時撤退した。

「んぐ……ググググ……だらぁよっとこらぁ!」
数瞬遅れて、ゴミの中からコンダラが顔を出す。
偶然あったのか、頭に『#』マークのライトを取り付けて
「あんのアマ!……まだ遠くには行っておらんけぇ筈……逃がさんどワレェ!!」
猛然と、その場から走り去って行った。




「メリッサちゃん…しっかりして?」
森の樹木の太い枝の上、そこでアオイがクッタリしたメリッサを抱いていた。
敢えて『グッタリ』でなく『クッタリ』なのは、今のメリッサの状態故である。
「でもよかった、これくらいならあたしにでも…」
「………何しに来たのよ」
助かったのに、メリッサの声は憮然としていた。
「何って……メリッサちゃん連絡取れなかったから、探しに来たんだよ?」
「余計なお世話よっ!」
「えっ……」
返ってきた拒絶の反応に、アオイは硬直した。
「あんた達なんかいなくても…あたしだけで十分よ…」
「メリッサちゃん………」
「そうじゃなきゃいけないのよ!…だいたい!あんた達人間じゃないじゃない!」
「っ……」
人間ではない―――
アオイには、胸に痛い言葉だった。
「あたしは人間よ…それで退魔士なの…亡きダディとマミーもそうだった…あたしだって!あんた達なんていなくても!」
「メリッサちゃん」
何、と言い返えそうとして、言い返せなかった。
口を、口で塞がれてた。マウストゥマウス……
単直に言えば、キス。
メリッサは驚いて、一瞬なにも考えられなくなった。
―――あっ……
しかし、続けて来た心地良さに、思考を取り戻す。
生気を、口移しで送ってくれているのだ。
思えば、初めて会った夜も、返り討ちにされた後でこうしてくれた。
あの時と同じく、メリッサは徐々に、厚みを取り戻してゆく
顔が、手が、足が、ちょっとだけど胸が、膨らむ。
身体が元に戻るのとほぼ同じく、アオイは口を離した。
「アオイ……」
「確かに、あたし達は人間じゃない」
「え?」
「人間なんて見た目だけの化け物だよ…私達は」
「あっ……」
そこまで言ったつもりは―――
と言いかけて、言い澱んだ。結局は同じ事だから。
「でもね、それ以前にあたし達……友達じゃない!」
「っ!……そ、そんなの……あんたの勝手な妄想よ!」
「妄想でもいいよ。私がメリッサちゃんを信じてる。それだけなんだから」
「………………馬鹿」
「てへへ…♪」

その『馬鹿』は、メリッサが自分自身に向けて言ったものでもあった。

―――私は、嫉妬してたんだ。
人間か人間じゃないかなんて、建前だ。
本当は、単に自分の無力さを棚に挙げたくて
無茶をして、失敗して、揚げ句に好意を跳ね退けて―――

そこまで思い、改めてメリッサは自問する。
それが仮にも聖職者のやる事か?
少なくとも、亡き両親はそうではなかった事を思い出す。
お互いがお互いを信頼しあってたのはもちろん、どんな人も分け隔てなく救おうとしていた。

―――それなのに、私は

「そうよ………アオイ、あんたって本当に馬鹿なんだから」
「う、そこまで言わなくても」
「あたしとあんたは友達だけど!それと同時にラ・イ・バ・ルなんだからね!そこんとこは勘違いしないでよ!」
ビシッと指差し、キツく指摘する。
すっかり元の気概を取り戻している。
今やっと、メリッサは身体も、心も、元の姿になった。

「それじゃ、ま。あのコンダラ野郎をブッ飛ばすわよ!」
「私にいい考えがある!」
「失敗フラグ立てるんじゃない!」
「あいた」



「あんのアマ共………どこ行きおったんじゃあああ!」
森の中を宛ても無く暴走し続けるコンダラ
葉っぱや木の根を踏み潰し、足跡というよりは足道をいっぱい残していた
しばらくはペンペン草も生えないんじゃないだろうか?
と、そんな時―――
コツン!と、コンダラの頭に小石が命中した。
「ぁ゛あ゛ん!?」
超不機嫌に振り向けば、
木々の合間をパタパタ飛ぶ、先程キックをかましてくれた少女。
「やーいやーい♪コンダラコンダラー潰せるもんなら潰してごらーん♪」
おまけに小学生のような挑発までしていた。
「おっどれぇえええええええええ……!!」
単純なコンダラの怒りが頂点に達するのは、もはや道理だった。
「鬼…じゃなかった…コンちゃんこっちら~♪」
「またんかいいいいいいいいいい!!」
踵を返して逃走し始めた彼女を、全力で追うコンダラ
それを見てアオイは、心中でしめしめ、と呟いた。

森の中で爆音と土煙を立てて、追いかっこが展開される。
かたや空飛ぶ吸血鬼、かたやコンダラ男。
いつ果てぬと知れぬ追走劇は―――視界が広く開けて終わりを告げた。
森を抜け、いつのまにか校庭に出たのだ。
アオイは校庭の一角で、わざわざ地面に降りて仁王立ちしている。
「観念しいやあああああ!!」
もちろん、コンダラは突っ込んでくる。
それが罠とも知らずに
「うおお…ってだらぁああああ!?」
ズシ――――――ン!と大きな音を立てて、
コンダラが乗った地面が、陥没した。
しかも、ピッタリはまり込んだらしく、ローラーが猛回転しても出れない。
「な、なんならぁ~!?」
「落とし穴よ」
アオイの影に重なるように立っていたもう一人の少女が、淡々と答える
姿を現したその人影に、コンダラは目を剥いた
「お、おどれは…ワシがブチ潰した筈…」
「おあいにくさま。ペラペラの代わりにピンピンしてるわ!」
威勢良くそう言い、
メリッサは脚の間を大きく広げて、討ち手の小槌を構えた。
「大きく……なぁれっ!!」
メリッサの声に呼応して、討ち手の小槌も真価を発揮する。
柄が有り得ないくらい伸びて、それに合わせてハンマーヘッドも有り得ないくらい巨大化する。
最終的に、50メートル余りの超ビッグサイズの槌となる
―――あたしを初めて潰したのもあれくらいだったなぁ
アオイはコンダラの側から退避しながら、しみじみと思い返した。
もちろん、コンダラにとってはしみじみなんかしてられない。
「ちょ、ちょおまてお前!そんなんやったら……」
メリッサに、最後まで聞く気はない。
次の台詞も決まっていた。
「問答無用!ぶっ潰れろおぉぉぉ!!」
「うるぼおぎょえあああああああ!?」

その夜、超常学園全体が謎の地震に見舞われたという




「ふぅ……」
「やったね、メリッサちゃん♪」
全てを終えたメリッサに、アオイが駆け寄る。
と、
「その…アオイ…」
「?」
「…ぁ…ぁぁ」
顔を真っ赤にしながら、メリッサは“それ”を言った
自分に何度も『ただのケジメなんだから!』と言い聞かせながら
「…ありがとう。今日は本当に助かったわ…」
「………フフ、どういたしまして♪」




今回の拾得物:イベル(平面化) コンダラ(破片)

FIN
  1. 2008/12/09(火) 22:42:11|
  2. 平面化
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コメント

どうもDさん!お久しぶりです!
新作読ませていただきました!
とっても面白いです!
ロボットアニメか・・・
自分はやっぱり●ード●アスですね・・・
●ンスロットや、●蓮や、蜃●楼等が
カッコイイですよね・・・
特にル●ーシュが世界の憎しみを
一身に受け止めて人々に明日という
希望を託したシーンはもう涙モノで・・・
(いい加減自重しろっ!!)
新型のインフルエンザが来るというので、
Dさんも無理せず、風邪等にも
気をつけてください。
これからも応援しています!
  1. 2008/12/11(木) 17:59:43 |
  2. URL |
  3. ヴリトラ #8V2MC1qc
  4. [ 編集]

コメントありがとうございます

>ヴリトラさん
>どうもDさん!お久しぶりです!
こんばんわ!本当にお久しぶりでっすw
長い期間を置いての新作となってしまいましたが、
ご期待に添えられて本当に嬉しいですw
●ード●アスのナイ●メアフレーム、カッコイイのが一杯ですよね^^
個人的にはやっぱガウェ●ン、ラン●ロットらの円卓の騎士を冠したのが一番かな?w
そして、新型インフルエンザかあ~!体調管理にはきをつけねば…
健康は財産ですからな~
最期に、応援どうもありがとうございます♪そして、これからもよろしくお願いします!
ではでは~♪
  1. 2008/12/11(木) 21:50:45 |
  2. URL |
  3. 究極のD@BB #3k2uny7Q
  4. [ 編集]

ロボットアニメといえばガンダム!俺もお前もガンダムだ!

前回から見ると…ざっと一年ぶりの本編ですね
富○先生こんにちは(待て
久々にSS読ませていただきました。面白かったです。メリッサ嬢フルボッコのシーンにはエロスさえ感じました
やっぱエロスと状態変化は紙一重ですね(?
更新お疲れ様です
  1. 2008/12/13(土) 21:04:48 |
  2. URL |
  3. 無茶 #-
  4. [ 編集]

コメントありがとうございます!

君は刻の涙を見る―――…

コメントありがとうございますw
そうなんです。1年ぶりの本編だったんです。アハハ…
富○先生を笑えないや、うん(汗

ともあれ、期待に添えたクオリティに出来たのは幸いですw
エロスといえば、最近は少年誌にもエロい漫画や表現が増えてきましたが
エロスってあからさまに見せるものじゃなくて、
香るように 、同族にだけわかるように…が一番じゃないかなぁ…
でも、あからさまなのも大好きだけどねw(ォィ

エロスと状態変化は紙一重!いい言葉だ!たぶん!(ぉ
ではでは、ありがとうございました~w
  1. 2008/12/15(月) 22:39:33 |
  2. URL |
  3. 究極のD@BB #3k2uny7Q
  4. [ 編集]

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