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超常学園 第3話 (後編)

ようやっと後編・・・ノロマ更新でごめんなさいorz
ともかく後編~!!・・・の前に

結城利也さんの経営するブログ、羽咲市情報管理局と相互リンクしました♪
ありがとうございます結城利也さん!
結城さんのブログは小説メインなので、両刀めざしの自分は色々勉強させていただきたいとおもっています。
これからもよろしくおねがいします!

さてさて、ではでは、後編に~つづくぅ~






「……さ、次は貴女ですわよ?」
「あ…あう…」
アオイは自分の末路を―――
アリスの手の中でピクリとも動かないメリッサの姿を見ていやいやと首をふる
構わず近づいてくるアリス。
それに恐慌した彼女は―――
「嫌ぁ~~~~っ!ロウガぁ~~~~っ!!」
自分で叫んでて、それは届く訳がないと思っていた
今までは叫んだって助けてくれない。助けられない世界に居たから
この学園に来る前までは―――

―――ドゥッ!!

「っ!?」
一陣の旋風が吹き、廊下から入り込む黒い影。
壊れたドアをくぐり抜け部屋の中へと飛び込んだそれは
ちょうどアリスとアオイを隔てるように
豪快に床を凹ませて着地した
着地姿勢から立ち上がり、顔をあげたのは―――

「やれやれ……やっと見つけたぜ」

果たしてそこに居たのは、
ナンブ・ロウガ。その人であった。


超常学園
エピソードナンバー③ 後編 『ライカンスロープ』


時刻は既に7時。
日はとうの昔に暮れ、学園内の照明が落ちている中で
月明かりだけが、そこを―――
校舎の端の古びた倉庫室を、照らしていた。

その中で対峙するのは、バンダナの少年、狼牙と、フランス人形、アリス。
側には囚われた吸血鬼、アオイ。アリスの手には退魔士のメリッサだった、人形。

静寂を破ったのは、後ろで縛られたアオイだった
「ロウガっ!来てくれたんだ!」
「なに…プリントを届けにな」
「照れ隠しなんてしなくていいのに♪」
別に照れ隠しでも何でもなく事実なのだが、
それよりも、狼牙はアリスから目を離さないように注意しつつ
今度は逆に、背後のアオイへと問い掛けた
「アオイ、いったい何がどうしてこうなったんだ?」
「え!?えっと、メリッサちゃんと追いかけっけしてて!そしたら行き止まりになってこの倉庫にドッカーンして!それであのアリスって人形が動いて!メリッサちゃんをピキピキで!」
慌てふためいているせいか、所々が端折られている
おかげで、極めてわかりにくい。
解読は古代神官文字なみに難しいかもな、と狼牙は心中で溜め息をついた
「………とりあえず落ち着け、要は目の前のコイツが元凶って事だな?」
「あら、元凶とは失礼ですこと。
勝手にこの部屋を荒らしてワタクシの封印を解いたのは彼女達ですのよ?」
事実である。
狼牙はアオイの方へ振り向き、ジト目で見つめた
「……おい」
「だ…だってぇ、メリッサちゃんが暴れるから…」
顔を俯いて唇を尖らせる
恐らく、両手が動かせていたなら、胸の前でチョンチョンとしていた事だろう
生憎と、両腕は拘束されているのだが

「ふふふ、余所見をしてらして良いのです?」
人形の声、そして嫌な予感がした狼牙は、前に向き直った。
視界に入ったのは、蠢く数本の糸。
長く伸びたアリスの髪が、動きは蛇のように、目標を狼牙にし
襲いかかって来る!
「ロウガ!あれに捕まったら…」
アオイの悲鳴に関わらず、糸は四方八方から襲い来る
アリス1人が操っている故に、非常に統制の取れた動き
逃げ場は無い、避けられない!
「問題ない」
狼牙がそう呟き終わった刹那、
金属がぶつかり合うような音と共に、
眼前まで迫っていた糸が細切れに断たれる
「あうっ!?」
ついでにアオイを拘束していた糸も切られ
バランスを崩した彼女は、床に倒れる
「そんなっ…ワタクシの髪を…一瞬で!」
「ずいぶんヤワな髪だったな、コンブやヒジキを食べた方がいい」
人形なのに食べられる訳なかろう、と言う突っ込みは置いといて
そう語る彼の指には、鋭利な『爪』。
両手にある五本の指、計十本の爪全てが、
ナイフのように鋭く長く変化していた。
「ご忠告……どうもですわ」
一方のアリスは表情に出すまいと
どうにか、狼狽と怒りを内に封じ込める
そして―――
「1つだけ、聞かせて頂きたいですの」
「なんだ?」
「貴方、何者ですの?」
狼牙の目の端が吊り上がる。
メリッサもしたこの質問、当然と言えば当然。
部屋に入って来た時の尋常ならざる跳躍、
凶暴に変化した爪、
そして、その爪で周囲の糸を一瞬で切り払う、身体能力と動体視力。
まず、一般人では通らないだろう
「何者か…か」
微かな感慨を含んだ一言を漏らしつつ、狼牙は頭のバンダナに手を伸ばす
後頭部の結び目をチャッチャと解き
はらりと、バンダナが取れると―――
押さえられていた髪の下から
フサフサした毛の塊が姿を表した
三角形に纏まっており、外側が黒く、内側が白い毛並みで出来ていて
さらにピコピコと動くそれは、まさしく―――
「…………犬耳?」
「馬鹿野郎!狼耳だ!ライカンスロープだ!」
冷静だった狼牙が、この時だけはムキになって反論したのだった


ライカンスロープ―――いわゆる狼男。
狼男には、人狼、ウェアウルフ、ストレイ、リカント…など様々な種類が居るが
その中でも、ライカンスロープはかなりの上位種。
自身の力を自由にコントロールでき
獣化を体の一部に留めたり、逆に全身を獣化させるのも、本人の意思次第なのだ。

なお吸血鬼同様、満月の夜は最高に心身が高まる事を付け加えておく。


「ライカンスロープとは…どうりで」
顔に先ほどまでの余裕が消え、歯噛みするアリス
永い時を生きてきた彼女だ、
当然ながらライカンスロープの高い身体能力を知っている
まともに戦えば、あっという間にバラバラにされてしまう…
ところが―――
「や~ん♪ロウガの耳か~わ~い~い~♪」
「っっ!?お、おいっ!!」
突然、後ろから抱きついてくるアオイ
彼女は手足が自由になったのを良いことに、
犬耳を撫でたり、
柔らかな胸を彼の背中に押し付けてきたり、
首筋に息を吹きかけたり…
セクハラである。
「や、やめんかっ!!」
「えー、だってロウガめったに耳とか出してくれないんだもん。可愛いのに」
「お前がそうするからだろうが~ッ!!」
羞恥で顔を真っ赤にし、吠えるのだった。

しかし、偶然(?)とは言え出来た隙
アリス程の者が見逃す筈は無い。
「(よくわかりませんがチャンスですわ)」
気付かれないように、再び髪を伸ばす
伸びた髪は、音もなく床を這う
とは言っても再び断ち切られては敵わないので、2人の方には向かわない
今は逃げる事が最優先。逃げられる程の隙が出来れば、それでいい。
床を這っていた髪が、近くの雑貨へ手当たり次第に巻き付いてゆく―――

「っ!!」
大きな物音がして、ようやくアリスの方へと向き直る狼牙
しかし、既に準備は完了している。
部屋中のあらゆる物が、巻き付いたアリスの髪に引っ張られ
空中へと、持ち上げられていたのだから
本や椅子、装飾品は愚か、重そうな机やコンダラまでが浮き上がっている
あの細い髪でどうやって持ち上げているのかは不明だが
ただひとつわかっている事は、あれらを投擲されたらタダじゃすまないと言う事だ
「あ、あれ?もしかしてヤヴァい?」
「もしかしなくともヤヴァいわドアホ」
アオイもやっーと乳繰りあう手を止めた。
某死のノートに出てくるKなら間違いなく『だめだこいつ、早くなんとかしないと』とのたまったであろう
閑話休題(そんなことより)
「フフフ、お馬鹿さんですわね貴方達♪」
アリスはいつの間にか…いや、間違いなく2人が乳繰りあってる間に、であろう…
ドアの反対側の壁にある、大きく開かれた窓
その欄干の上に、悠々と立っている。
「ワタクシ、少々大食いな方でして…人間1人ぽっちの生気では、まだ足りませんの…」
手中に抱えた、小さな人形と化したメリッサを撫でつつ
口元に妖艶な笑みを浮かべて、舌なめずり。
直後、
「で・わ・♪」
窓の欄干から後ろに跳ぶ
ヒラヒラした服をはためかせながら、フワリと宙を舞う
そして重力に従い、彼女は落ちはじめる
ちなみにここは四階……しかし、余裕の態度から、着地は何か策があるのだろう
しかも―――彼女は狼牙に追い掛けられないように
浮いていた雑貨を一斉に、2人に向けて投げつける!

対する狼牙は、時間が無かったのも合間って
最も単純な策を取った

「ふんっ!」
殴る。
力の限り殴り飛ばす。
出始めに飛んできた本を数冊、窓の外までカッ飛ばしていく
あわよくばアリスに当たらないかと願ったが、生憎と彼女の姿はもう無かった
それを残念に思う間もなく、次は木箱と椅子が飛んでくる
「ふんっ!ふんっ!!」
木箱は本を殴った体勢から、裏拳の要領で弾き飛ばしにする
椅子に至っては回し蹴りを一閃
『ドグシャ!』と木の歪む音が二重に立ち、木箱と椅子は両脇の壁に叩き付けられた。
続けて燭台、丸められた絨毯、大きな机の三連打。
「オラオラオラ!!」
ジャブ、ストレート、アッパーの三連コンボで対抗。
またもや窓の外まで飛んで行く燭台と絨毯。机に至っては粉砕した。
しかし、破片の木々が舞う中を突っ切って
最後のコンダラが飛んで来る
狼牙はアッパーの勢いを利用し、体を大きく振り被らせ…
「無駄ァ~~~~~~~~~~ッ!!」
渾身の大振りパンチ。
爆薬が炸裂したかのような、
おおよそ生身の腕からする筈がない音がして
コンダラは、逆転サヨナラホームランボールの如く
部屋内をカッ飛び、窓を突っ切って、そのまま外へと消えたのだった

ちなみに、この一連の攻防
合計して約5秒にも満たない事柄であることを余談としておく

コンダラが窓の外に消えた直後
すぐさま窓の元へ走り込み、階下を見る狼牙。
しかし、アリスの姿はどこにもなく
地面には、さっきまで机だった木の破片が落ちてるのみ
「……逃げられたか」
『やれやれ』と嘆息を突いた後、彼は室内へと向き直り
ポカーンとしているアオイへと詰め寄った
「さて、今度は『落ち着いて』説明してもらおうか?」

――――――――――――――――――――――――

「…なるほどな。つまりお前達が暴れて、ウッカリあの人形の封印を解いてしまったと」
「うん」
大方の説明が終わり、コックリ頷くアオイ
聞き終えた方の狼牙は、軽く頭を抱えたのだった
そして、ダメ出しも兼ねてアオイへ一言。
「このドアホめが」
「あぅぅ…だってぇ、ペチャンコはヤだったんだもん…」
「…ともかく、今はあのリビングドールを追うのが先決だ」
アオイへの呆れと叱咤は一時保留、
事態は一刻を争うのだ。故に、気持ちを切り替える。
しかし、行動に移そうとして、一つの問題が浮上した。
「あのアリスって子、どこ行ったんだろ?」
最もな疑問である
追尾しようにも、ターゲットの場所がわからねばいかんともし難い
「…あいつは生気を求めていた。と言う事は、人間の多くいる場所に向かう筈…」
「でも寮はここからじゃ遠いよね…」
「「う~ん…」」
2人して唸ってしまう。
急がなければ新しい被害者が出てしまうと言う焦りが、思考回路を遅らせる。
アオイは藁をも掴む思いで、何かヒントが無いかと部屋の中を見回す。
と、彼女は狼牙のポケット、そこからはみ出した紙切れに目を付けた。
「ロウガ、その紙は?」
「む?これか?これはお前に渡すよう頼まれたプリントだ。内容は文化部主催の展覧会の御知らせだが…」
文化部主催の展覧会―――このフレーズに
聞いていたアオイ、そして言った狼牙自身も、ハッとなった
「展覧会が近い…それなら、文化部は遅くまで居残ってる筈だよね…」
「日が落ちたとは言え7時半…十二分に有り得る…つまり、奴が向かうとしたら…」
「「部室棟だ!」」



部室棟―――
その名の通り、数多くの文化部の部室が配置してある棟だ。
場所は、敷地の北端に位置している。

具体的に言い表すと
アオイ達の居る校舎は、北を上にして『L』の型となっており
その『L』の上に『I』の字型の校舎が…部室棟がある。
ちなみに、アリスの封印されていた倉庫は南東
『L』の字で言えば、底辺の頂点部だ。

仮に倉庫の窓から降りて、真っ直ぐ北西に向かえば
距離的には、だいぶ短縮された距離で部室棟に着ける
いわばショートカット。
恐らくアリスも偶然か、それとも知ってたのか、それを利用したのだろう
アオイ達もまた、このショートカットコースを急いでいた。

しかし、ショートカットと言っても、そこは道無き道。
校舎の周りを覆う深い森が、行く手を阻んでいる
普通だったら、校舎沿いを歩いて行った方が早いのだ

しかし、彼らは普通ではない

「急げ!」
「わかってるよぉ!」
狼牙は時代劇の忍者の如く、
枝から枝、時には幹に取り付いては跳び移るを繰り返す。
その後ろを、木にぶつからないよう気をつけながら、
アオイが『偽りの翼』で飛び交っている。

そんな時だった。
アオイがふと、ある事を思い出したのは
「ねぇ!」
「なんだ!」
「こうして森の中を突き進んでるとさ、昔を思い出すよね!」
「………そうだな」
柄にもなく、郷愁が狼牙の中にも沸いてくる
2人は足を止める事なく、少しだけ記憶を掘り起こした


およそ五年前、
2人が居たのは死と隣り合わせの世界―――
狩り狩られる、弱肉強食がより顕著だった世界。
そんな中、幸か不幸か2人は出会った。

『御父様』が殆ど留守にしていたが故、いつも1人で過ごしていたアオイ
人間は愚か、他の魔物からも忌み嫌われて
常に孤独だった。孤立していた。

そんな彼女にとって、彼の出現は大きかった

馴れ初めは、人間のハンターに捕まりかけたアオイを
偶然、それを見かけた狼牙が助け出したと言う、なんともベタなものだった。
否、まるで絵本の姫と騎手のような出会いだったからこそ
尚更にアオイは惹かれた

その日から、何かしらつけて狼牙に近づくようになったアオイ
最初は警戒心から振り解こうとした狼牙だったが
アオイの吸血鬼らしからぬ子供っぽさに心を許したのか
はたまた、自身も長らく孤独に生きてきたせいなのか
少しずつだが、打ち解けた

一緒に月見をしたり
一緒に鍛錬をしたり
そして、
一緒に夜の森を走り回ったり―――


「楽しかったなぁ、あの頃…もちろん今も楽しいけど♪」
「今は楽しんどる場合なんかではないぞ」
「もう!狼牙ったらノリが悪いんだから!…でもそんなクールな狼牙もあたしは…」
「…………。」
飛びながら頬を赤らめてるアオイを放って
狼牙は足を早めた
「あん!待ってよぉ!置いてかないで!」
「無駄口を叩いてるからだ…そろそろ見えてくるぞ」
そう、話してる間に目的地へと近づいていた
木々の合間から小さく見えてくるのは、目的地……部室棟!



文芸部・部室―――
「ぁ…ぁ…」
文房具が床に飛び散り、荒らされた様相の部室
その隅で、居残っていた文芸部員の少女のうち、最後の1人が縮こまっている
最後の1人と言っても、彼女だけが居残っていたわけではない
もう彼女しか、人間の姿を留めた者が居ないのだ
「オホホホ…この文芸部とやらの方々の生気も、なかなか美味でしたわ」
部室の中央に佇んでいるフランス人形…アリスは、満足げに微笑んでいる。
彼女の周囲には、数体の人形が
―――元、文芸部だった少女のなれの果ての姿が、転がっていた。
アリスはその文芸部員達の人形の合間を縫って
最後の部員、怯えきった少女の元へとしとやかに歩みよりはじめる。
「い、いや、来ないで!」
「そう悲鳴を上げなさらないで下さいまし…可愛い顔が台無しですわ」
確かに、中学生特有のあどけない顔が恐怖に歪んでているのは、
あまり良い見世物ではない。
最もその原因はアリス自身なのだが、
彼女には関係の無い話だ
「ワタクシね。貴方は特別、可愛いかったから残したんですわ…そう…特別、可愛かったですから…」
そう、彼女にとって大事なのは―――
「特別、可愛かったですから…
デザートにしようと、とって置いたんですもの」
目の前のご馳走を食す事だ
「やぁあああっ!!?」
もしかしたら助かる。そんな一滴の希望すら粉砕する言葉に
少女は、悲鳴をあげる。
だがそれだけだった、彼女には足掻く事すら許されない。
「ふふ…さぁ、デザートの時間ですわ」
アリスの髪が、沸き立つ
数本が伸びるとか、そんな生易しいレベルではなく
髪全体が洪水の如く、増大!
殺到する。少女へと!
「は、離して!んくっ!」
少女の四肢に巻きつく髪
一カ所一本などではない。数十本の束が幾本も
全身に―――…
「ん!んん~~~~っ!!?」
少女は体を余すとこ無く包み込まれ、
体のシルエットだけがわかる状態になる。
それは、蜘蛛に糸を吐き付けられ絡め取られた蝶のようであり
偶機か必然か、アリスもまた、蜘蛛とおおよそ同じ行動をする
すなわち、
「いただきます」
捕らえた獲物から―――栄養を吸収する行為を

―――ドクン
「(あっ…!?)」
捕らわれの少女の心臓が、おおきく脈動する
それとも同時に、体から白いオーラが吹き出し
髪を伝わって、アリスへと吸い込まれて行く
「(あ…あ…あ゛あ゛あ゛…)」
全身から力が抜ける、
少女は声にならない悲鳴をあげる
しかし、もとより彼女を拘束する髪が声を出すことを許さなかった
「(ぁ………)」
力を吸い上げきられ、
事切れるように、彼女は意識を手放した。
それに伴って、
彼女を包む髪の繭が徐々に小さくなる。
一回り、二回りとみるみる縮んでしまい
ついには30センチ大にまでなり、止まった。
「…ご馳走様でした。大変、美味しかったですわ♪」
アリスは満足げに息巻き、髪の毛の繭を解いた
繭の中から出て来た少女は、髪の合間を滑り落ち
『コツン』と、床に転がった

小さな人形となって。
「ふふふ、また可愛い仲間が増えましたわ♪」
少女の人形を、
そして部屋に散らばった文芸部員だった人形を、
アリスは片手で拾い上げてゆく
不思議な事に、メリッサと違って
彼女達は人形サイズの制服を着ていた
力が強くなった影響なのか―――
単にメリッサの時は恐怖を煽りたかったのか―――
恐らく、両方だろう
「さて…そろそろ彼らが来る頃ですわね」
先程から、高速で此方に近づいてくる『気配』がする
間違いなく、あの2人―――吸血鬼とライカンスロープだろう
そう確信し、彼女は笑みを浮かべた
「良いですわ…今度は逃げずに相手をして差し上げましょう…オホホホホホ…」



部室棟前―――
ようやく到着した、狼牙とアオイ。
2人を出迎えたのは、部室棟全体に漂う異様な雰囲気だった。
「遅かったか…」
「うん…」
空気が違う
肌に感じるそれが、酷く淀んだ物に思えるのだ
間違いなく、何かが起こった……その後だ。
「…起こってしまった事は仕方ない。ここはさっさと…」
「あ、上だよ!狼牙!」
「?」
見上げると、
ヒラヒラと舞い降りてくる一枚のメモ
上階から落とされたのだろうか?
胸中でそう呟いた後、ちょうど真上に来たメモをキャッチした
内容をあらためる。ちゃっかりアオイも、横から見た。

『屋上で待ってますわ♪―――リビングドール・アリスより』

険しい顔になる狼牙
十中八九、罠。それは確実。
何らかの策があるか、あるいはにそれすら必要ない程に力を蓄えたか
出来れば前者であって欲しい
と、彼が長考をしている最中―――
「そんな…まさか…」
一際、青い顔のアオイ
「どうかしたのか?」
「まさか…まさかあのリビングドールが…狼牙にラブレターだなんて!!」
『ズベシャァァァァァッ!!』…という、豪快な音と共に、
狼牙は盛大にズッコケた
普段、冷静な彼らしくない行動だが
それだけ、アオイの発言が衝撃的だったのだろう
そういう状況の狼牙を知らず、
事態はさらに加速する―――アオイの脳内で、だが
「そう言えば狼牙の事をジッと見てたような気がしたし……別れ際に挨拶なんかしてたし……だいたい語尾に『♪』なんか付けるなんて……って言うか屋上なんて告白の王道だよね……」
ブツブツと独り言が次から次へと出てくる
そのどれもがアリスに対する侮蔑で―――
端から見れば呪いの詠唱にも似た行為
そして呪いの完成の如く―――結論に至った
「ゆるさない……」
―――許さない
―――赦さない
―――ユルサナイ
―――ユルセナイ
―――あんな人形が…狼牙に…
―――少なくともアタシの方が付き合いは長いんだ…

―――ユルセル訳ガ無イ

「…………。」
「アオイ?聞いているか?おい?」
「……………コロス」
アオイの目が、ギラリと光った
既に狼牙の言葉は耳に入って居ない
代わりに、口から吼喉が出た。
「人形!コロスッ!!」
おおよそ淑女らしくない言葉と共に
瞬時に、再び偽りの翼を広げて、
屋上目掛けて垂直に飛び上がった
「おいっ!勝手に先行するな!くそっ…」
余りの事態に一息遅れて、狼牙も部室棟に突入した



屋上
そのちょうど中央に、アリスが立って待っていた。
「そろそろかしら?……あぁ、待ちくたびちゃいますわ」
楽しみでしょうがない
そんな表情をする彼女の周囲には、幾人もの人影がある―――
だがその人影、普通ではない
まずその瞳が何も写して無い…虚ろで生気が無い…
肌は、造り物の如く光沢を帯びて…
さらに関節は、丸いパーツによって繋がれていた…
そう、人形。
元部員達だった人形達が、
等身大にされ、直立不動の姿勢で立たされているのだ。
各々の手には、カッターやハサミ、モップや箒…
おおよそながらも武器となりそうなものが握られていた。

その人形達の中でも、アリスを除いて、一際目を引く人形が居る
その人形は、制服も何も着ていおらず
金髪のポニーテールで、どこか見慣れた顔をした人形……
メリッサ・アルテミスだった人形だ。
手に携えているのは、いつものようにウチデノコヅチ
しかしその顔には、いつもの強気な表情など欠片も無い
深い海のように青い瞳は、ただ虚空を見つめているだけ
元気につり上がっている筈の眉も、ピクリとも変化が無かった。

「フフフ…ワタクシの可愛いお人形さん達…もうすぐ出番ですわよ…」
アリスが人形達に語りかけると、
『キィキィ』と関節を鳴らして人形が身じろぎをする……
これもアリスの能力の1つ
人形にした者達を自由に操作できるのだ
これで、人質+兵力の完成
しかも周囲に一体ずつ配備することで奇襲を避ける。
盤石の布陣である。
なのだが―――
「それにしても、せっかく万全に用意しましたのにまだ来ないなんて、遅刻などされては興が削がれて…」
『しまいますわ』と後に続く筈の言葉は……
「人形ォォォォォォ――――――ッ!!」
と、部室棟どころか学園をも揺るがし兼ねない大声に遮られた
ギョッと身を強ばらせるアリス
同時に
屋上の縁の策を飛び越えて、声の主が荒々しく着地した
…言わずもがな、アオイである
「な…なんなんですの…?」
余りの御登場の仕方に、アリスが多少たじろぐ隙に
『ゆらぁり』と、顔を前に向けるアオイ…
―――見ぃ付けたぁ…♪
口元が、
有り得ない程につり上がった
「だ…誰かと思えば吸血鬼さんでしたの…1人で来るとは良い度胸してますわね」
慌てて動揺を取り繕い、挑発行動に切り返すアリス
しかし、その挑発などされる依然に
アオイはキレていた
「あなたこそ良い度胸してるよ…わざわざあたしの前で狼牙にあんな…あんな…っ!」
「あんな?」
「あんなラブレターを送りつけるなんてえぇぇぇぇぇっ!!!」
『ズザァァァアアアッ!!』と
今度はアリスが、屋上の床を滑走した。
「ら、ラブレター?」
危うく摩擦で削れそうになった鼻を押さえつつ、起き上がる

そんなアリスをお構いなしに―――
「覚悟しなよ…」
強い啖呵を切り、アオイが両の手の平を広げる。
その指先…爪に意識を集中したかと思うと
一瞬の内に、その爪が鋭く長く伸びた
「…このデク人形がッ!!」
それに間髪入れず、
強く床を蹴り、アリスに向けて飛びかかる
「っ!そうはいきませんわよ!」
真っ直ぐ突っ込んでくるアオイを、アリスは迎撃にかかる。
アリスが指揮者のように手を振ると
それに合わせるように、アオイの前へ立ちはだかる―――メリッサ人形。
「っ!!」
振り下ろした爪が、ウチデノコヅチに受け止められる
関節を『キシキシ』鳴らして、相も変わらず無表情で、
逆にそのまま、ウチデノコヅチをブン回してアオイを振り払ったのだった

この時点で、アリスは自身が優位に立ったと感じていた。
喧嘩をしていたようではあったが、
恐らく仲の親しいであろう友達が人形となって襲いくる…
これで動揺しないわけがない。
その隙に他の人形をけしかけて畳みかければ―――

「メリッサちゃんそこどいてぇっ!そいつ殺せないぃぃっ!」
だが、アオイの反応は予想の斜め上をい(逝)っていた
あろうことか
彼女は隙を見て、一片の躊躇もなく
メリッサ人形を蹴り倒した。
「は?」
長い間生きてきた故の経験則…
それに全く当てはまらない行動を目の当たりにした彼女は、
他の人形を操る事を忘れ、呆然となってしまった
その隙に、メリッサを転ばせたアオイは―――瞬時にアリスと間合いを詰めた
「!、しまっ…」
『ハッ』と息を飲む間もなく
気付いた時には
アオイがアリスの頭を鷲掴みにしていた
「は、離し…!」
「下手な真似しないでね、頭がスイカ割りのスイカになるよ?」
「っ…」
アオイの口から出た抑制のない声、そして脅迫に、アリスは戦慄した。
既に、頭が『ミシミシ』と音を立てているのだ
力加減次第では、宣告通り
『パキャリ』と
さもスイカが割れるような音を立てて、頭がかち割れるだろう。

人形にとって頭は命だ。
もとより無機物に魂が宿った者である彼女に、痛覚や出血はない
現に、手足なら…乱暴に言えば首から下は
いくら破損しても、代えが効くのだ。
しかし、顔は別
顔は人形にとって、唯一の個性。
本来は意志や性格など持ち得ない人形にとっては、死活問題なのだ。
意志を持ったリビングドールになっても、その名残なのか
頭が破壊されれば、彼女は絶命する。
正確には意志の無い只の人形に戻る……否、頭が無いから人形ですらないガラクタになる。

「や…やめて…やめて下さいまし…」
「なら、どうしてあんな手紙書いたの?」
その質問に、常日頃の子供っぽさはない
有るのは確かな『殺意』だけ
「ひ、ひいっ!!あああ、あれはっ、あなた達2人を誘おうとして送ったんですぅ!!許して下さいましぃぃっ!!」
必死に絞り出し、上擦った声になりながら、アリスは正直に話した
もう駄目かもしれない―――
穴があったら『逃げ込み』たい。そんな気分だった。
「2人?……って事は……アレは別に狼牙に宛てたものじゃないの……?」
「そ、そうですぅっ!!」
「そう…………」
アオイが一言呟いてから、しばし間が開いた
ああ、ついに粉砕されるのか
諦めの境地から全身の硬直が解けた瞬間―――

アオイの手がの頭を離し、彼女は尻餅を突いた。

「あ、あら?」
いったい何が?と、見上げてみれば……
「なぁんだ、アタシの勘違いだったんだ♪」
『ダッシャァァァッ!!』と擬音を出し
人形は転ぶ、本日二度目。
「ごめんごめん♪あたしって狼牙の事になると向こう見ずになっちゃって♪」
「そ…そうですの…」
返事をしつつ、アリスは立ち上がる
その身をプルプル小刻みに震えさせながらも―――
「ほら、狼牙って見た感じかっこいいから…ううん、性格もだけど♪
…だから他の女が寄って来ないかって日頃から心配しちゃって
でも狼牙はあたしの王子様だからきっと…キャッ♪」
「それは良かったですわね…なら…
ブッ潰れちゃって下さいまし」
アリスの言葉と同時に、背後から巨大な影が差す
ノロケていたアオイもそれを中断して、振り向くと
2日前に見たばかりの、
巨大なハンマーとなった、ウチデノコヅチが目に入った
「あ…」
しかも、そのウチデノコヅチは、
ちょうどアオイに向けて振り下ろされる瞬間だった。

「に゛ゃあああああああああああああああっ!!」

悲鳴に少し遅れて、
部室棟を揺るがす振動と轟音、
そして、『ペチャリ』と何かが潰れた音がした


アオイ、平面化♪



「ふにゃぁ~…」
ウチデノコヅチが持ち上げられると
やはりそこには、体が紙のように圧縮変換されたアオイの姿があった
両腕は、肘から先を上げ、手のひらを開けた形で
脚は、股を閉じた姿勢にて、潰れており
表情は、クルクルと目を回し小さく口を開いた、ちょっと間抜けな状態である
余談だが、ウチデノコヅチの性能なのか
不思議な事に、屋上の床には皹が入ってなかった
「ホホホ!油断しましたわね!と言うか人前でノロケるのがいけないんですわ!」
「むぎゅうぅ…」
今度はアリスに頭を掴まれて持ち上げられるアオイ
まさに、文字通りの形成逆転である
アオイは精一杯もがこうとする。血さえ吸えれば戻れるのだから―――
しかし数瞬後に、絶望的な事に気がついた
被害者達を含め、この場には血の通った者が居ない!
「気付いたようですわね…さぁどうしてくれましょうか、ここは意趣返しにビリビリに引き千切って―――」
「そいつは…遠慮してもらおうか」
思いを馳せるアリスに向け、言葉の横槍が飛んで来る
振り返って見れば、屋上の入り口に立っている男
お待ちかねのライカンスロープ―――狼牙がそこに居た。
「あら、遅かったんですのね」
「お前が掴んでるそいつが、勝手に先行しただけだ…」
そのまま、睨み合いに入るかと思ったが
それはアリスの手の中の者に打ち破られた
「狼牙ぁ!やっぱりあたしのピンチに駆けつけてくれるんだぁ♪」
「ば、馬鹿者!そんなのではない!」
「照れなくてもいいよ、あたしはわかってるもん♪」
「ど…ど…ど…ドアホめが」
随分、歯切れの悪い『ドアホ』になった辺り
あながち否定出来ないのだろう―――アオイが心配である点については、だが
それはさておいて、
「わ…ワタクシを無視して話してるんじゃありません事よ!
同志達!やっておしまいなさいな!」
アリスは無視された事と、ナマのノロケを見せられた事に腹を立てたのか
いかにも悪役な口頭で、人形達に指令を出した。
対する、命令された人形達は何も言わずに
『ザッザッザッザッ』と、あまりに揃い過ぎた足音を立て
無駄の無い動きで、狼牙の周りを囲んでしまった
「ふん…バリケートのつもりか…」
「ホホホ…この人形達を越えてワタクシの元に辿り着けますか?ただし、先程の怪力では、彼女達が壊れてしまいますよ?」
「……………。」
アリスの挑発には乗らず、ただ黙り込む
ただひたすら冷静に、打開策を脳内で割り出しにかかっていた

―――飛び越えるか…?
却下、空中でメリッサのハンマーに迎撃されかねない

―――人形達の間をすり抜ける…?
却下、そんな隙間は無い

―――いっそ人形達を見捨てるか…?
否…検討するまでもなく、却下

ならば…最終最後の手を使うしかあるまいか
南部 狼牙が―――ライカンスロープが持つ、『特殊能力』
たった一つの、『切り札』を

「(ただ…“アレ”はリスクが多い…)」

一日にたった一度、それも数秒間しか使えない。
本当に一か八かの『切り札』…
あまりにも、分の悪い賭け

「(だが…それでも構わない!)」

思考完了。
狼牙はその金色の瞳を見開き、腰を低く落とす。
戦闘態勢―――であると同時に、『切り札』を出すための精神集中の態勢だ
「ふふ、諦めが悪いようですわね?ここまでこれるとでも?」
「ああ…届くさ」
分が悪いにも関わらず、そう言い切った。
なぜなら、『賭け』に置いて最も大切なのは
運と、実力と―――自分の判断を信じる強い心だから―――
「強がりもほどほどになさいな!
金髪の人形さん!もう一度あなたの御友人を潰して差し上げなさい!」
アリスの命令で、メリッサの人形がウチデノコヅチを振り被る
槌はアオイを潰した際より、さらに大きく、大きく
そして槌を振り下ろす為に、正面の人形達が少しだけ間を開ける
「これで終わりで…」

―――今だっ!!

「『孤狼(ベイオウルフ)』!!」

狼牙が叫んだ瞬間、世界が色を無くした
空が、夜の黒でもない、朝の白でもない、灰色一色
色鮮やかだった校舎も、黄色に輝く三日月も
そしてアリスやアオイやメリッサや、人形達も
まるでモノクロ写真かなにかのように色褪せ
そして等しく動きを止めていた

その中で、ただ1人だけ
狼牙だけが、色褪せも止まりもせずに、疾走していた。

人形が退いた隙間を駆け抜ける
しかし、人形達は全く彼に反応しない
まるで認知できないかのように―――

そのまま正面を走り抜けて、メリッサ人形の元へ
今にもウチデノコヅチ振り下ろさんとしたポーズのまま
ピタリと、その動きを止めていた。

狼牙はウチデノコヅチの柄を掴んで
『ぐるり』と
メリッサを180度、前から後ろへと向き直させてから
アリスとアオイの元へ歩み寄った

狼牙が目の前に立っているのに
アリスもアオイも、何のリアクションもしない
まるで『時が止まっている』よう―――

そう、まるででなく
本当に止まっているのだ

「これが俺の『切り札』…『孤狼(ベーオウルフ)』だ。
一日に一度だけ…『零秒間に十数秒間だけ動ける』…零秒なのに十数秒とは矛盾してるが、とにかくそんな感じだ
早い話が『超加速』。第三者から見れば『時間停止』になるのか。
この零秒の中では、世界で唯一、俺だけが動く…絶対なる孤独…だから『孤狼(ベーオウルフ)』だ。
さて、そろそろ時間だな。こいつは返してもらう」
最後に、アリスの手からペラペラのアオイをひったくって
狼牙はその場から二、三歩退いた

そして―――時は刻まれだす

「―――すことよ!…って、え?」
フィニッシュの台詞を吐いたつもりのアリスは
目の前の光景に唖然とした
何故なら―――潰される筈のライカンスロープは自分の横にいて
そしてライカンスロープを潰す筈のウチデノコヅチが頭上に―――

「きゃあああああああああっ!?」

再び、屋上に激震と悲鳴が響いたのだった



「ぅぅぅ…な…ぜ…?」
ウチデノコヅチの下から出てくる、紙のようにペラペラになされたフランス人形…
ある意味、とんでもなく珍品となったアリスであった

と、見たまんま無力になった彼女の体から
吹き出す湯気のように、少女達から抜け出たオーラが沸いてくる
「あ…駄目ですわ…せっかくいままで溜めた生気が…」
とり込もうとするも、ペラペラの手足では如何ともしがたく
漏れだしたオーラは次々と、少女達の人形へと宿って行く
宿った順に、人形達に変化が起こる
硬い造り物の肌が、柔らかな血の通ったものに
関節のパーツは埋もれるように消失して
その目、表情が生者のそれに戻り―――
全身余るとこ無く、人間に戻った後、倒れるように気絶した。

その調子で、人形達が次々と少女達に戻って行く
そして最後に―――メリッサへとオーラが流れ込んだ
セト物のような肌は、絹のような肌に、
節々の球体は、元の関節へと
曇っていた瞳も、滑らかさを失っていた髪も、
皆、元に戻ったのだった

「ぁ………ん?」
退魔士故なのか、彼女は気絶せずに目を覚ました
目を覚ました瞬間―――
自分の身が何も被われてない事に気付いたのだった
「な!な!な!なによコレェ―――っ!!?」
「どうやら、無事のようだな」
「あっ!あんたは!」
腕で体を隠しながら、目の前に居る狼牙を指差し
恥ずかしさで顔が真っ赤になった
「み、見るんじゃないわよ!」
「慌てるな、俺とて見たくて見てる訳ではない」
「っ…それはそれで失礼ね…そりゃあたしは貧乳だし…
…ってそうじゃない!あれからどうなったの!?人形は!」
「俺達が倒した。もう悪さは出来まいて」
もっとも、半分はメリッサが倒したようなものだが
この際、黙っておく
「そ…そう…あ!あんたそのタオル貸しなさいよ!」
「む、これは…」
狼牙の返事も聞かずに、
彼が手元に持ってたペラペラの物をひったくり、体に巻き付けた
「メリッサちゃぁ~ん…あたしをタオル代わりなんて酷いよぉ…」
「っっっ!ア、アオイ!!?」
そう、狼牙が持っていたタオルは
世界で一つだけ、吸血鬼の肉体を押し潰して作られた特注品だった
「……………ま、ちょうどいいわ。寮までこのままでいなさい」
「ぇ~!あの時の事は、水に流すって…」
「うるさいわね!また風邪ひいたらどうすんのよ!」
「狼牙ぁ~」
助けて♪と、潰れた体で器用にウインクするアオイ
しかし
「俺は後始末をせねばならん…メリッサと言ったな、今日はもう寮に帰れ」
「フ…フン!そうさせてもらうわよ!」
「あたしは無視!?」
「自業自得だ。しばらく反省していろ」
「うにゃ~ん狼牙のいけず…でもそんなストイックな狼牙も…」
「じゃあな」
「あ!最後まで聞いてよぉ―――っ!!」
狼牙はそこから退散するように
床に落ちていたもう一枚のタオルを拾った後
屋上の出入り口へと消えて行った




翌日―――
朝、2-Cの教室では…
アオイが狼牙の席へと詰め寄っていた
「んもぅ!狼牙っ!昨日は大変だったんだよぉっ!!
あれからメリッサちゃん、お風呂であたしをバスタオル代わりに使って!!その後で雑巾にされてぇっ!!挙げ句に洗濯機で洗われちゃったんだからぁっ!!
もうお嫁に行けないよぉっ!!だから責任とってね狼牙♪」
「……zZZ」
「寝てないで聞いてよぉ―――っ!!」
「zZZ…無茶言うな…zZZ…昨日の『孤狼』で…zZZ…体力使い切ったんだ…zZZ…そういう訳で俺は寝る…zZZ」
「狼牙ぁ――――――っ!!」

同じ頃―――
すっかり荒らされた校舎端の倉庫は
現在、応急処置程度に床や窓が板張りされている。
そんなよりボロくなった倉庫の片隅に、新しい額縁が置かれていた
その中に飾られているのは―――絵でもなければ賞状でもない
世にも珍しい、紙のように薄いフランス人形であった
「(くうぅ…いつかこの借りは返しますわよぉ!!アイシャルリターン!!
……でもとりあえず今は……ここから出して下さいましぃぃぃぃ……)」





  1. 2007/10/07(日) 22:45:03|
  2. 人形化
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:8
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コメント

No title

ベイオウルフと聞いたら某疾風提督の乗る戦艦名を思いつくそんな自分です(待て
どうも、デュールですw
アオイの勘違いもかわいいですねぇ~、やられるほうはたまったものじゃないですが(汗
それほど狼牙君に恋してるわけですねw(待て
それにしても狼牙くんかっこいいです!今後の活躍も期待ですw
さてさて、次がどうなっちゃうのか楽しみです
それでは~
  1. 2007/10/07(日) 23:40:17 |
  2. URL |
  3. デュール #NRXdkuuw
  4. [ 編集]

どーーー!!×3

タイトルに意味はありません。
ただ、更新と物語の途中で心の中で叫んだ言葉と回数です。
ども、こんばんは、sentiです。
いやいやいや、見事です。
人形化の中に平面化も混ぜてきましたか!
いいですね~平面化。見事はまったものですから。
狼牙の「ベイオウルフ」
………すごっ!の一言につきます。
これって、観点変えれば時間停止になるわけで………
だから………そのあいd(自主規制
とかできるわけで。特に人形。
すみません。もう末期症状なんです。このジャンルに……
べ、別に何も考えてませんよ!!
別に止まってる間にメリッサの人形をいじるなんて………
考えてるわけないじゃないですか(微笑

ともかく、良かったですよ!
これからもやれるだけ頑張ってくださいね!
[sentiは、究極封印解放D式術を……応援します。]
なんか、ぶっ飛んだ感想になってしまいました。
それでは、また!
最後に、どーーー!!
  1. 2007/10/08(月) 01:17:51 |
  2. URL |
  3. senti #-
  4. [ 編集]

完敗ですw

後編、お疲れ様でした。

一昔前の表現で言えば、ファンタジー&学園ラブコメw
そのバランス、展開、キャラ設定…どれもが天性の才というものさえ感じられました(^^
それにしても、吸血鬼と狼男のラブラブとは…面白いですねw
昔、狼男は吸血鬼の僕としての扱いが多く、そして近年では…
実は互いが天敵同士という設定が主流になってきました。
それだけに、恋愛になるとは…これは、すごく面白い設定だと思います。
それに関してのバックストーリー。
弱肉強食の世界、孤独、そんな中での出会い。
これなら、種族も関係なく…こういう関係になっても不思議ではいと納得させられますよね。
また…孤高で騎士的存在である狼牙に対し、予想以上な天然系をみせてくれた…アオイw
果たし状を…ラブレターと勘違いできるなんて、なかなかの天然ですw
とにかく、一つの物語として…その完成度の高さに驚いたという事が言いたかったわけですw
回りくどい言い方してすみませんw

でも…ホント言うと、今回一番のお気に入りは…

アオイちゃんのペチャンコ!!

ストーリー中の描写もいいですが、やはり…あのイラスト!
もう…最高ッスよww
私の好きな…スタンダードなペチャンコに、なんと…なんと…

アオイちゃんの、クルクル目!!

この絵を見た時、その時の興奮は言い表せないですね。
マジにGJ!

究極のDさんに、土下座して…「ありがとう!」と言いたいw

これからも、期待します(爆
  1. 2007/10/08(月) 08:03:28 |
  2. URL |
  3. るりょうりに ケンさん #EB29KFfw
  4. [ 編集]

No title

おお、後編更新乙です!

さっそくみんなテンション高いですなw
ライカンスロープとは、なかなか通なところを突いてきますね!
しかし狼牙って犬ミミっ子だったのか…アオイたんも惚れるわけだw
アオイたんが犬ミミを撫でたくなる気持ちもわからんでもない…実家のニート犬がゴールデンレトリバーで垂れ耳なので、道端で柴犬など見かけると「ぴょこっ」とした耳が新鮮かつ可愛くて撫でてやりたくなりますからねw

「オラオラオラ!!無駄ァ~~~~~~~~~~ッ!!」
すげえ、ノリがぴったり決まってる!
しかし飛んでいったコンダラは何処へww

そして今回最初の見せ場!!
文芸部員の女の子の人形化描写、素晴らしいの一言ですw
普通のアニメや漫画では、最後にデザートにするまでとっておいたとか…最後に一人だけ残って、縮こまってるとか…それで後少しで、その女の子も餌食にされちゃう!って時には、ギリギリの瞬間に主人公達が助けに入るのがセオリーですよね。
しかしっ! そんな事まったく厭わず、しっかり人形化されてしまうっ!!
いや~素晴らしい、見ているこちらも清々しましたww 最近のアニメや漫画に見習って欲しいですね!

アオイたん、そんな手紙で勘違いし暴走するとは…それだけ狼牙への想いは強いのか、とにかくインパクト大ですね。
それにしても他の人形達は服を着ているのに、メリッサたんだけ裸のままとは何とも…。
そして次の見せ場、アオイたんの平面化キコタレ!!!
くるくる目、△の口といい萌えポイント一直線ですねw
しかしなるほど、今回は人形相手なので血が吸えない→回復できないとは…考えましたなぁ。

狼牙の秘技、ザ・ワールド!!(違 いや、加速装置!!(それも違
ともあれ凄い能力ですな、というかなんとアリスまで平面化してしまうとは!
予想外の嬉しい展開にビックリですよww

それにしてもメリッサたん、元に戻っても一人だけ裸とは…いくらなんでも可哀相すぎるw
なるほど平面化アオイたんをタオルにしてしまうわけですか、こちらもオチが纏まっててイイ感じですよw
バスタオルに雑巾、洗濯機と最後の最後までモノ扱いとはメリッサたんが羨ましい限りですなぁ。
メリッサたんが風呂上がりの身体を平面化アオイたんで隅々まで拭き取る様子を想像すると萌え萌えですww

最後のオチまで綺麗に纏まっていて、ストーリーの構成力の巧さに脱帽です。
見せ場たっぷりの素晴らしい作品、ご馳走様でしたw
次回も楽しみにしておりますね。
  1. 2007/10/08(月) 12:49:01 |
  2. URL |
  3. 時報の人 #u8HgeERI
  4. [ 編集]

No title

生徒を襲い人形化、そして操り襲わせる…かなりの熱い展開ですね!
狼牙の能力、かなりすげえ…その代わりのリスクがデカイのも使いどころが限られてきますね~

そしてぺったんこのアオイたんキター!
タオルや雑巾と扱われ、洗濯されるとは…そそりますな!
おまけのアリスが額縁に収められるというのもグッですw

ちなみにベイオウルフと苗字のナンブ、そして分の悪い賭けと聞いて某スパロボのアルトアイゼンの人を連想したのは秘密ですw
  1. 2007/10/08(月) 13:40:47 |
  2. URL |
  3. ALT-D #eoiZu7NI
  4. [ 編集]

コメントありがとうございます。

>デュールさん
感想ありがとうございます!
疾風提督て…銀伝のことかーーーーー!!1wwww
仰るとおり、アオイの狼牙にたいする気持ちは相当なもんがあります
たとえ火の中水の中草の中森の中土の中雲の中あの娘のスカートのなk(マテ
どこまでも彼を追いかけていくことでしょうw
期待に添えられるよう頑張ります!

>sentiさん
いつも熱いコメントありがとうざいます♪お返しにこちらからもド-ンw
狼牙の能力はすごいですけど、
ちいと強すぎるので、制限が大目に入れたつもりです~。
それにしても、なぁ~にを考えちゃったのかな?かな?

>るりょうにケンさん
コメどうもですーw
天性の才なんて恐れ多いですよ(汗
ラブレターと勘違いさせたのも、果たし状の内容を書いていたら
それが『なんかラブレターみたいだな』と思いついただけでw
高い完成度…お褒めの言葉ありがとうございます
むしろDは矛盾がでないかどうかオッカナビックリ書いてる節があるので、そういっていただけると本当に嬉しいです
イラストのほうも好評のようで嬉しいですw
ぶっちゃけこの絵はクルクル目を描きたいが故にかいたようなものですw

>時報の人さん
いつもながら感想どうもです!
狼牙に犬耳っていうとヤヴァイですよw狼耳って言ってあげてくださいなw
オラオラ~!の元であるジョジョは、Dの心のバイブルです。
そして飛んで逝ったコンダラは達の行方は…いずれあきらかにw

最近のアニメや漫画は本当、ギリギリで助かるものが多くて困る
鬼太郎とか鬼太郎とか鬼太郎とか…

平面イラストの助言、本当にありがとうございました
おかげでキッチリ平面っぽく見せられてスッキリです♪

ザ・ワールド!!(だから違
この特殊能力、出そうか出すまいか最後まで迷いました
でもアリスが平面化するのは割りと早くから決まってましたww

お気に召していただき誠にありがとうございます。
これを励みに頑張りたいです!

>ALT-Dさん
感想どうもありがとうございます
時間停止は固めジャンルの中でも、かなり無敵の能力ですからな~バランスをとるために厳しくしとります

それにしても、わかる人にはわかっちゃいますねw
はい、あの方が狼牙の元のイメージとなっておりますw
流石に口調とかは被らない様に注意しとりますけども
いつかステークとかクレイモアとか装備するかも(マテ
  1. 2007/10/08(月) 15:05:35 |
  2. URL |
  3. 究極のD #3k2uny7Q
  4. [ 編集]

おおw

おお、後編お疲れ様です^^

狼牙はピンチの時にやってくる剣士ですねぇw
なるほど、2人の過去にはそんな事が・・・・
かっくいいですねーww

ラブレターと勘違いしてアリスに激怒、アオイちゃんは怒らせると怖いなーなど感じていたらあっさりぺチャンッ
目をクルクル回してはにゃぁな表情・・・・・すごいいいです!!
この後はタオルと雑巾と洗濯と・・・・アフターケアバッチリ
そろそろ究極のDさんの平面化なる物を見てみたいと心より思ってましたww^^

額に飾られた人形というのも珍しいですね~ww

では、次回に期待しつつ活力頂ました(何の?)
  1. 2007/10/08(月) 22:03:55 |
  2. URL |
  3. 秋葉冬月 #7KC0ZeVc
  4. [ 編集]

冬月さん、ありがとうございます

ピンチの時にやってくる~♪
でも潰された後にやってくる辺りは固め系クオリティですw
彼らの過去は、これからも時々ちまちま小出しにしてこうかと思います

ペラペラアオイも好評で何よりです
4話もこうご期待下さい♪
  1. 2007/10/17(水) 18:15:11 |
  2. URL |
  3. 究極のD #3k2uny7Q
  4. [ 編集]

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